1985年に武蔵野美術大学を卒業。東京・鹿児島・京都などで設計・監理の経験を積んだのち、1996年に横浜で設計事務所を開設。木や土を多く使う木造住宅の設計が得意です。新築・改修どちらも承っております。

100年ほど前、世界の人口は15億人くらいでした。その頃の家は自然素材でつくられ、柱や梁は人の手によって組まれていました。世界の人口が70億人を超える今、大量生産と消費の社会の中で、家の材料には工場製品が多く使われ、柱や梁は機械によって刻まれるようになり、現場でカンナをかけ、昼休みにノミを研ぐような手間暇かけた光景を見ることは少なくなりました。少なくはなりましたが、できるだけそういう人の手技が残る現場に関わっていきたいと考えております。

メモ
モバラ
キボウガオカ

以前、化学物質過敏症の方の家の設計監理を行いました。限りあるコストのなかで、使いたい材料、使うことができない材料などを見分けていきます。使いたい材料は得てして価格は高めとなります。そこで工費節約のために自分で壁を塗ってみませんか?と提案したことがあります。ペンキのようにハケで塗る材料ではなく、コテを使って塗るしっくいです。段取りさえ整えば、コテをはじめて使う方でもひと部屋くらいならば塗ることは可能です。必要な段取りの手配は私たちでいたします。自分で塗った壁のある家で暮らすのもなかなかいいもんだと思います。漆喰ベースのこの壁材で塗った部屋は、なにより心地よい空気感を与えてくれます。

ツナシマ
ハヤマ
タテヤマ

より丈夫に、より安全で、快適な家をつくるための方法として住宅性能表示という制度があります。この制度の指標にしたがって設計をしていけば、だれもが一定の水準の家をつくることはできます。設計を専業とする設計事務所は、この指標に加えてさらに何をしたらもっと豊かな生活ができるのかを考えて、設計図を描き、模型をつくり、現場の監理を行っています。

 
ユガワラ
オダワラ
カイシュウ

人口が少なかった頃は富=森(農林漁)でした。人口が多くなり、都市化が進むことで交換するためにある貨幣自体が富となって、富は実態のあるものから実態のないものへと変わりました。このような環境になったことで、これまでとは質の違うストレスを私たちは蓄積しているのではないかと感じています。朝の7時に家を出、夜の7時に家に帰るとすれば1日の半分は家にいることになります。それならば家はそのようなストレスから解放される場所でありたい。昔の言葉に「衣食足りれば楽(らく)になる」というのがありますが、これからの家づくりでは、この「楽」のありかたを考えた提案をしていきます。暑さ寒さに対して身体への負荷を小さくするような楽、心地よい自分だけの居場所を見つけたときの楽しさ、ひとりひとりの、家族ごとの「楽な家」をみつけて、それを図面化して工務店といっしょに家を建てていきます。