海まで歩いて数分の場所に建つ家。犬をつれての砂浜散歩が日常なので、砂と床の相性を建築主さんと材料を見比べながら、掃除のこと、触れ心地などを考慮して厚めの陶板に決めた。冬の冷え込みには床暖房を備えている。壁と天井は火山灰を基材とした土塗り壁。そのほかの部分は木。開口部の開閉範囲は無段階、建具は壁側におさまる。写真は全開状態です。部屋の奥には燃える火がみえるように暖炉(今は薪ストーブ)を設け、海岸沿の洞窟の中で焚き火をしているようなイメージを抱きながら図面をひいていた。
まだ更地だった頃、建築主さんの「上にあがればここから富士山が見えると思うんだ」というそのつぶやきを聞いて屋上に出られるようにした。夏の照り返しのことを考えてセダムを植え付けたヤシのマットを敷き込む。下の洞窟(火)と対比するように屋上には太陽。
写真撮影:瀧浦秀雄